【漫画感想】ちーちゃんはちょっと足りない
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)
- 作者: 阿部共実
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2014/05/08
- メディア: コミック
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あらすじ
中学2年生になる、ちーちゃんは同学年の子達と比べるとどこか足りない女の子である。これは、そんなちーちゃんの喜怒哀楽の日々を綴った物語。
あらすじは見つからなかったのでwiki引用。
正直言葉が足りないというレベルではないあらすじではありますが、全くの間違いというわけではありませんし、大事な部分をあらすじに書くわけにはいかないので短いながらもいいあらすじだと思います。
漫画大賞1位ということで読んでみたくなって少し前に読みました。正直、漫画大賞で選ばれる作品は自分の好みと合わなかったりして買うことは少ないのですがこれはビンゴ。
前情報なしに買ったわけですが、完全に最近人気の何気ない日常を描く物語みたいな感じだと思っていました。いや、序盤はそんな感じなんですよ。
タイトルのちーちゃんはちょっと足りない。失礼ないい方かもしれませんが、ちーちゃんは年齢の割にそこまで頭がよくない。そういう意味でちょっと足りないということだとばかり思っていました。
それでもまわりの友達と笑顔で過ごせるよー的な。そういう話かと思っていたんです。後半までは。
同じ作品なの?というぐらいの落差。かわいらしいと感じていた絵柄が一気に恐ろしいものに見えてきます。
ターニングポイントは教室に置いてあったこれから払う予定の部費がなくなったということ。この時点でちょっとした学校のいざこざの雰囲気がして怖かったです。
その部費を盗んだのは誰なのか。そこで明らかになるその部費と同じ値段のお金を最近手に入れたちーちゃん。それを友達である女の子ナツに分け与えてしまいます。
読んでいる最中そのお金は本当に部費なのか、それとも全く別として手に入れたお金なのか。
その前の話でちーちゃんのお姉さんがバイト代はいったらちーちゃんの欲しがっていたPS3を買ってあげるうんぬんの会話が不意に思いだされてなんだか泣きそうになりました。
後半は鳥肌の連続。
何が一番怖いかってこのお話はこの1冊だけで終わっている単巻というものなのですが、その終わり方がハッピーエンドではなく、バッドエンドというところ。
しかも見るとすぐにわかるようなバッドエンドではなく、底なし沼にずぶずぶと沈んでいくような、そんな不気味な終わり方。
何1つ解決していないんですよね。
そんな丸投げしたとも思える終わり方に僕は非常に納得してしまいました。この物語の終わり方はきっとこれが正解だと思うし、読後感のこの嫌な感じを出すにはあの終わり方しかない。きっとハッピーエンドで終わっていればここまで人気が出ることもなかったような気がします。
調べてみればなるほど、この作者さんは空が灰色だからの作者さんだったのですね。僕は読んだ事がなく、ネットで一時期話題になっていたのを見た程度なのですが、色々なところでえぐいと言われていたのでなんとなく納得。
ぜひ他の作品も見てみたいです。
じわじわとしたえぐさを感じたい人はぜひ。